2007 Fiscal Year Annual Research Report
学級内の集団構造が学業への動機づけに及ぼす影響過程に関する縦断的研究
Project/Area Number |
18730412
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
石田 靖彦 Aichi University of Education, 愛知教育大学・教育学部, 准教授 (10314064)
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Keywords | 教育心理学 / 学級集団 / 動機づけ / 指導行動 / 縦断的研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は,授業における級友同士の相互作用を促進し,学習意欲を高める指導方法や学級経営のあり方を明らかにするために,教師の指導行動のあり方と児童の相互作用や学習意欲との関連性について縦断的に検討することであった。そのため,本研究では以下の2つの研究を実施した。 1.教師の指導行動の分類:現職教師と対象とした自由記述調査から,級友同士の相互作用を促進し,学習に対する動機づけを高める指導行動については,「学級づくり・雰囲気づくり」「話し合い・グループ活動の確保と工夫」「教師による発言の促進と受容」「話し方・聞き方の指導」「目標設定と成長の評価」「自律性・自発性の尊重」という6つのカテゴリーに分類できることが示された。 2・級友間の相互作用や動機づけに関する縦断的調査と教師と指導行動との関連:級友間の相互作用や学習意欲については,小学校5年生3学級を対象とした縦断的な質問紙調査と授業観察により測定し,教師の指導行動については(1)の教師行動カテゴリーを用いた半構造化面接により測定した。その結果,級友間の活発な相互作用については,担任教師の直接的な指導や援助だけでなく,級友からの援助や反応の影響も大きく,級友からの援助や反応を促進するような指導や援助の重要性が示された。ただし,児童の学習意欲については,級友間の相互作用を媒介とした効果は示されず,担任教師からの直接的な指導や援助が大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった。 以上の結果から,今後は,果たして級友間の相互作用は学習意欲を高めないのかどうか,また高められるとすればそれはどのような相互作用であり,それを支援するにはどのような指導や援助のあり方が可能なのかについて,さらに検討する必要性が示された。
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