2008 Fiscal Year Annual Research Report
幼児・児童における危険状況の認知の発達-子どもの安全教育に関する心理学的研究
Project/Area Number |
18730417
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Research Institution | Ibaraki Christian University |
Principal Investigator |
江尻 桂子 Ibaraki Christian University, 生活科学部, 准教授 (80320620)
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Keywords | 安全教育 / 防犯教育 / リスク / 危険認知 / 危険回避 / 認知発達 / 幼児 / 児童 |
Research Abstract |
研究概要 : 近年、子どもを狙った略取・誘拐事件が後を絶たず、子どもの安全に対する社会的な危機意識が高まっている。本研究はこのような事件を未然に防ぐための一つの手段として、心理学的アプローチ(実験法・調査法)により、子どもの危険認知の発達過程について検討するものである。本年度の成果として以下の3点を報告する。 1) 危険認知の発達プロセス前年度までに得た、幼児、児童を対象とした実験データの詳細な分析から、なぜ幼児は不審者との遭遇場面における危険認知・危険回避行動が難しいのか、そしてなぜ年長頃からそれが可能になるのかを、情報処理能力の質的・量的な転換期という観点から考察、説明した。また、小学生であっても相手から助けを求められるような場面では、相手の要求に従いやすくなることから、児童期はすでに危険認知能力が高い段階とはいえ、その時々の状況によって判断が揺らぎ、危険回避行動が難しくなる段階であることを明らかにした。そしてこうした児童期の傾向について、向社会性の発達との関係で考察した。 2) 保護者における防犯意識・防犯教育 ; 年中〜小学2年生の保護者を対象とした調査結果の分析から、不審者による連れ去りに対しては、多くの保護者が高い不安を感じていることが明らかとなった。しかし、実際に我が子が自ら不審者についていってしまう可能性については、それほど高くはないと考えている保護者が多かった。このことから保護者らは不審者の連れ去りに関して不安を感じてはいるものの、そうした事件に子どもが自ら巻き込まれる可能性は低いと考えていることが明らかとなった。また、ほとんどの保護者が日常的に防犯教育を家庭で行っていた。 3) 国内外の防犯教育の比較検討 : 防犯に関する子ども向けの絵本についていくつか比較検討した結果、米国では日本の絵本に比べて、不審者対策だけでなく、性犯罪を防ぐための安全教育にも力を注いでいることが示唆された。
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Research Products
(2 results)