Research Abstract |
18年度の研究においては,まず,米国にてインターネット配信型のリハビリテーションを行っているインディアナポリス州のニューロサイエンスセンターのOdie Bracy博士を訪問し,施設の視察を行うと同時に,配信型のリハビリテーションの実際を見学し,様々な意見交換を行った。また,ニューロサイエンスセンターがリハビリテーションソフトを配信している有料サイトにも登録し,各リハビリテーションソフトの構成を検討するとともに,臨床現場で実施することによって,その有効性や限界について吟味した。この結果は,福山大学心の健康相談室紀要に論文として掲載した。また,現在,認知リハビリテーションに利用されている様々な課題のみならず,学習障害等で利用されている課題や近年流行している「脳トレーニング」等のソフトを取り寄せ,それらについての高次脳機能障害者への適用可能性についても,臨床現場において高次脳機能障害者に実施することによって検討した。本研究では,リハビリテーションの中でも,特に注意と記憶機能に焦点を絞った課題の開発を試みるため,注意については,子ども用の教育支援ソフトの一つである視覚的注意訓練ソフトを様々なタイプの高次脳機能障害者に実施し,利用しやすさ,妥当性などを検討した。また,記憶については,外的補償方略としてのパソコンや携帯で管理するメモリーノートを立案するため,臨床現場で用いられている記述型のメモリーノートの内容を確認し,パソコン版,携帯版への反映可能性を検討した。 サイトについては,現在,専門家の協力を得て,高次脳機能障害者が利用しやすい,ユーザビリティの高いサイトの構成について,携帯端末を含めて検討中である。今年度の早い段階で,高次脳機能障害に関する情報を配信でき,研究最終年度には課題の配信ができるようなサイトを公開する予定である。
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