2006 Fiscal Year Annual Research Report
無関連音が視覚提示の言語課題の遂行に及ぼすクロスモーダルな妨害効果
Project/Area Number |
18730462
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 章浩 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 助手 (80396530)
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Keywords | 実験系心理学 / 無関連音 / 言語 / クロスモーダル |
Research Abstract |
仕事や勉強をしているときに、周りで話し声、音楽、騒音などが聞こえると、作業の能率が低下することは、日常的経験からもよく知られている。このように認知課題に対して聴覚刺激が及ぼす妨害効果は「無関連音効果」と呼ばれ、実験室内でも検討されている。本研究の最終的な目標は、従来統一的な説明が不可能であった無関連音効果に対して、統一的な説明を与えることにある。具体的には、なぜある状況では無関連音に含まれる音韻情報が言語課題の遂行に干渉し、別の状況では干渉しないのであろうかという問題の解決を目指す。本研究課題では、これまで一貫した結果が得られなかった原因として、課題の難度の違いに着目し、課題の難度を系統的に操作したとき、無関連音の処理水準がどのように変化するのか、そして、無関連音の処理水準の違いによって、無関連音効果にどのような違いが生じるのかを検討する。 18年度には、課題難度が低い条件について検討を進めた。聴覚提示される無関連音を無視して、視覚的な言語課題を遂行するように教示したとき、無関連音がどの程度処理されるのかをクロスモーダルプライミング課題を用いて検討した。実験の結果、音韻プライミング効果と意味プライミング効果が確認された。この結果は、課題難度が低い場合、無関連音は物理的処理、音韻処理を経て、意味処理までおこなわれることを示唆する結果である。 また、視覚提示の言語課題に聴覚的な刺激が及ぼす影響を検討するために、マガーク効果を用いた実験もおこなった。
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