2006 Fiscal Year Annual Research Report
「教育」と「心理臨床」の境界に関する原理的研究-精神分析を中心に-
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18730490
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
下司 晶 上越教育大学, 学校教育学部, 講師 (00401787)
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Keywords | フロイト / 精神分析 / 心理臨床 / 臨床教育(教育臨床) / 思想史 / 心理主義(化) / ボウルビィ / 道徳(道徳教育) |
Research Abstract |
3年間の研究計画のうちの初年度として、「教育」と「心理臨床」の境界についての基礎的研究を行った。 まず、精神分析と教育との関係を思想史的に検討し、それぞれ雑誌論文として、学会誌に発表した(全4本)。なお以下には、従来より継続していた研究を発展させたものも含まれる。 「フロイト主義が教育に与えた影響を問題化するために」(書誌情報は次頁掲載、以下同)では、「心理主義化」と言われる今日的状況を念頭に置きながら、フロイト主義が教育に与えた影響を問題化するための方法論を論じた。 「フロイトと精神分析を教育哲学において問うこと」では、従来の教育哲学研究のあり方を問い直し、なぜフロイトと精神分析を検討対象としてこなかったのかという問題に取り組んだ。 「J・ボウルビィにおける愛着理論の誕生」では、母子関係理論で著名なボウルビィの説を対象とし、彼の理論における自然科学の用い方を批判的に検討した。 「精神分析と教育」では、エディプス・コンプレックス概念を中心として、精神分析と教育(学)との関連を論じた。 著書としては、以下の二冊を執筆、刊行した。 共著『道徳教育』では、第3章「道徳性の発達理論とその臨界」を分担執筆し、フロイト、ピアジェ、コールバーグにおける道徳性の発達理論を検討しつつ、道徳の問題を考える際には、個体の発達に関する心理学的理解では十分ではないことを論じた。 単著『<精神分析的子ども>の誕生-フロイト主義と教育言説』は、昨年度中に初稿を完成しており、科学研究費補助金「研究成果公開促進費(学術図書)」によって刊行したものであるが、細部の修正等に関しては、本課題のうちにも含まれると思われるので、ここに掲載するものである。
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Research Products
(6 results)