Research Abstract |
本年度はまず,学校現場でのボランティア活動を継続中の大学生と,外部人材として学校現場での支援に従事した経験を持つ大学院生とを対象に,インタビューとアンケートを併用して調査を実施し,現場での支援活動の実態と,その中で彼らが体験した困難や問題点について明らかにした。その結果,学生達に求められている支援内容が多岐にわたっていること,そのため,学校のニーズとボランティア学生の力量または志向が十分にマッチングされているとは言えない事例も少なくないことが明らかになった。大きな問題点として,教師・学校側との連携の難しさを,多くのボランティア学生が共通して指摘した。効果的な支援のためには,児童生徒のニーズを反映させた指導計画が,ボランティアをはじめとする学外援助者とも共有されていることが望ましいが,現状はそうではなかった。具体的には,(1)支援に先立って,指導の目標や計画・内容などが示されなかった,支援対象の児童生徒に対する情報が十分に与えられなかった,(2)自閉症やADHD等の児童への指導方法が分からない,学校側のニーズがよくつかめないため,自分がどこまで介入していいか分からない,(3)打合せ・支援の報告・相談といった教師側との連携が十分に行えていない,または,連絡ノートなど,連携への努力をしたがうまくいかなかった,(4)教師と対等と見なされにくい立場に遠慮し,支援や連携の改善に向けた提言や行動を控えてしまう,等の問題や困難を体験していることが明らかになった。この他,インタビューの中では,学生の志向と学校側のニーズが十分にあわなかったことや,休校や行事の連絡がうまく来ずに無駄足に終わることが重なったことが,ボランティア活動に対するモチベーションに影響した事例が複数報告された。 得られた結果は,H18年度の学会で発表した他,H19年度の学会でも発表予定(論文投稿済み)である。
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