2006 Fiscal Year Annual Research Report
次数2のジーゲル保型形式に対するフーリエ・ヤコビ展開と関連する特殊関数の研究
Project/Area Number |
18740010
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
平野 幹 愛媛大学, 理工学研究科, 助教授 (80314946)
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Keywords | フーリエ・ヤコビ型球関数 / フーリエ・ヤコビ展開 / 保型L-関数 / ジーゲル保型形式 |
Research Abstract |
今年度は、次数2のジーゲル保型形式に対するフーリエ・ヤコビ展開と関連する特殊関数として次の二つの関数を扱い、結果を得た。一つは、次数3の実シンプレクティック群Sp(3,R)の第2ヤコビ型放物部分群から誘導された主系列表現に対する第一種ホイッタカー関数であり、もう1一つは次数3の複素一般線形群GL(3,C)のクラス1でない主系列表現に対するホイッタカー関数である。 フーリエ・ヤコビ展開に必要な特殊関数はフーリエ・ヤコビ型球関数と呼ばれる一般球関数である。これまでの研究でその明示公式をほとんどの許容表現に対して決定してきたが、重要な許容表現のひとつであるジーゲル放物部分群から誘導された主系列表現の場合が依然残されており、フーリエ・ヤコビ型球関数の理論は未完である。この残された場合の明示公式を得ることは非常に複雑であり、今年度の研究はその類似研究として意義がある。今年度は、これまでに得られていた次数3のシンプレクティック群上定義されるホイッタカー関数についての研究をさらに進め、増大度に関してよい性質を持つ第一種関数の具体的な表示を得、直交群上の同関数との関係を示した。また、次数3の複素一般線形群上のホイッタカー関数について、これは一般にベクトル値関数であるがその全成分についての明示公式を得た。この結果は、関連する特殊関数とゲルファント・ツェルビンスキー基底との親和性を示しているといえる.今後の課題としてはこれらの研究を更に推進し、期待される成果をフーリエ・ヤコビ展開の問題に活用することである。
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