2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740012
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
朝倉 政典 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 准教授 (60322286)
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Keywords | ホッジ理論 / 混合モチーフ / レギュレーター / 代数K理論 |
Research Abstract |
平成20年度は、楕円曲面のKlのレキュレーターについて深く研究し、具体的な成果をあげた。より詳しく説明する。一般に代数体上定義された非特異射影多様体のK群からガロア・コホモロジーのg-partとよばれる部分へp進レギュレーター写像というものが定義される。この写像が全単射であるという予想がある(Bloch-Kato). このことは、余次元2の代数的サイクルのなすチャウ群のねじれ部分群の有限性問題と密接に関係している。これに関しては、Langer-Saitoなどの研究にはじまり、いくつかの具体的な成果があった。本研究では、同様の問題を代数体ではなく局所体上の多様体について考察した。実は、局所体上でp進レギュレーターの全射性を証明しようとると、新しい困難が現れる。この新しい困難ゆえ、これまでに誰も具体的な成果をあげることができなかった。私は佐藤周友氏(名大多元)と共同で、ある楕円K3曲面に対してp進レギュレーターが全射になること、および余次元2のチャウ群のねじれ部分群が有限になることを証明することに成功した。これは、この方面での、初めての具体的な成果である。 証明には、Flach-Mildenhallの元など、これまでに知られていたテクニックも使うのであるが、もっとも難しい部分の証明では、ここ何年間か続けているTate曲線の研究およびK2のBeilinson-Tate予想の結果を本質的に使う。これについては、セミナーやワークショップなどで数回にわたり講演発表した他、論文として公表するために、現在執筆中である。
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Research Products
(3 results)