2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740029
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
山田 裕一 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (30303019)
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Keywords | 3次元多様体 / レンズ空間 / 特異点論 / デーン手術 / 結び目 / 4次元多様体 / 平面曲線 / 枠付き絡み目 |
Research Abstract |
3次元球面内の結び目に沿うデーン手術(Dehn surgery)でレンズ空間が生じる"例外的な"現象は「レンズ手術」と呼ばれ、低次元多様体論・トポロジーの研究課題となっている。筆者が2003年度から継続している研究は「多くのレンズ手術はA'Campoが定義したdivide knot(特異点論に由来)であり、対応する平面曲線は『L型の領域に沿って斜めの格子を切り取った形状』をしている」という現象の詳細である。今年度は、それら「L型divide knot」の範疇に属す結び目の特性をレンズ手術以外の観点から考察した。以下はその具体的な成果である。 1.レンズ手術をもつ結び目のアレキサンダー多項式の性質について、門上晃久氏(大阪市立大)との共著論文を2件投稿した。1件は既に出版され、もう1件は出版が内定した。 2.TypeIからVIと呼ばれる一般的なレンズ手術について上記の記述が確かに正しいことを証明する論文原稿を執筆した。細部をもう一度検討したいのと、TypeIX以降についての研究が気になっているため、未だ学術誌への投稿には至っていない。この成果は9月の学会(大阪市立大),11月の箱根勉強会で講演した。スペイン(国際数学者会議のサテライト)集会でも掲示形式で報告した。 3.「L型divide knot」の範疇に属す結び目に関して、アレキサンダー多項式を求める組合せ的なアルゴリズムがある。この方法で行った多くのコンピュータ計算実験が上記1の成果の背景にあった。これについて11月の集会「トポロジーとコンピュータ2006」で講演した。 4.各地の研究集会等で,多くの研究者に「L型divide knot」の効用を個人的に紹介した。そのうちのいくつかは新たな研究に発展すると期待できる。
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