2006 Fiscal Year Annual Research Report
離散凸解析アプローチに基づく非線形整数計画問題の実用的解法の研究
Project/Area Number |
18740042
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩浦 昭義 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (10296882)
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Keywords | 離散凸解析 / 非線形計画 / 整数計画 / アルゴリズム / 凸解析 / 凸関数 / マトロイド / 劣モジュラ関数 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は,離散凸解析における技法を用いることにより,非線形整数計画問題の良質な近似解を実用的な時間内に求めるアルゴリズムを提案することである.離散凸解析における既存の研究は,主に「解きやすい」非線形整数計画問題に注目していた.これに対し,本研究課題では,「離散凸近似」という手法を通じて,離散凸解析の枠組みを「解きにくい」非線形整数計画問題へ拡張する,というアプローチをとる.本年度の研究成果は以下の通りである. まず,「ジャンプシステム」と呼ばれる,良い性質を持った整数格子点集合上での離散凸関数の最小化問題に対して研究を行った.この問題は非線形整数計画問題の中でもきわめて基本的な問題である.既存の研究では,ジャンプシステムの特殊ケースである基多面体や双劣モジュラ多面体上での離散凸関数最小化に対して多項式時間アルゴリズムが提案されていた.これに対し,より一般的なジャンプシステム上でも,分離凸関数およびM凸関数の最小化問題が多項式時間で解けることを初めて示した.この結果は論文誌に投稿しており,採択が決まっている. また,与えられた区分線形凸関数を,複雑度の小さい関数によって近似するという問題に現在取り組んでおり,高精度な近似関数を効率的に求めるアルゴリズムの構築を行った.このアルゴリズムの実験的な近似精度は理論値より格段に良いため,理論的な近似精度の解析にはまだ改善の余地があると思われる.この理論値と実験値のギャップを埋めることが今後の課題の一つである.また,この近似手法を如何に非線形整数計画問題の解法に埋め込むか,ということも今後の課題である.
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Research Products
(3 results)