2007 Fiscal Year Annual Research Report
微分作用素のスペクトル分布に対する精度保証とその応用
Project/Area Number |
18740055
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長藤 かおり Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 准教授 (40326426)
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Keywords | シュレディンガー作用素 / 本質的スペクトル / スペクトルギャップ / 数値的検証法 |
Research Abstract |
平成18年度に引き続き, 1次元シュレディンガー作用素のスペクトル問題に取り組んだ。これはバンド構造の本質的スペクトルを持つ作用素であり,スペクトルギャップにおいて離散スペクトルが存在するかしないかを数学的に厳密に保証することは大変重要な問題であるが,理論的な解析は極めて困難であり,計算機援用による証明が期待されている。固有値の非存在を保証する方法として,調べたい区間を十分狭い幅として固定し,固有ベクトルのみについての線形方程式の解の一意性を示す手法を用いる。この線形方程式を不動点定式化する際に,摂動項なしのポテンシャルを持つ線形常微分方程式の基本解を用いる手法を昨年度提案した。今年度は精度保証付き数値計算法を用いてその具体的な計算を行い,本質的スペクトルのギャップにおいて離散固有値が存在しない範囲を厳密に証明することに成功した。(研究目的(1))これは現時点で相当する他の手法がないuniqueな結果であり,その意義は大きいと思われる。これらの検証アルゴリズムについては, Plum教授との研究討論により,昨年度に提案した手法を大幅に改良することに成功し,微小な摂動項の場合でしか成功しなかった計算について, 20倍程度大きな摂動項も扱えるようになった。 研究目的(2)に関しては基本的な定式化に着手した段階であるが,昨年度・今年度の研究の進展により,効率的な検証アルゴリズムの構築の目処がたったところである。また,研究目的(3)に関しては, Maxwe11方程式に関する同種の問題について3次元空間における定式化および数値的検証法の根幹を成す誤差評価定数を構成的に導ぐことに成功した。(2),(3)の具体的な計算については来年度に行う予定である。
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Research Products
(15 results)