2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740072
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 賢次 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (40322200)
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Keywords | 非線形波動 / 分散性 / 解の一意性 / 散乱理論 / 漸近安定性 / プラズマ / 超流動 / 水面波 |
Research Abstract |
プラズマ内の非線形波動を記述する(Klein-Gordon-)Zakharov方程式系について、亜音速・高周波同時極限における非線形Schrodinger方程式へのエネルギー収束の証明を完成させた。その過程で初期値問題の解の一意性が問題となり、従来の時空ノルムによる付帯条件を外して無条件一意性を示した。その際、逐次近似法を解ではなく解空間へ適用してその収束を得るという新しい議論を導入した。Zakharov方程式については、エネルギー空間より広い1/2階Sobolev空間での一意性を示したが、極限方程式ではStrichartz評価とSobolev不等式の二重臨界性による困難から対応する結果が得られていない。即ちイオン成分について楕円型よりも双曲型の方が正則性が得られ易いという事で、通常と異なり興味深い。また、超流動などの非線形波動を記述するGross-Pitaevskii方程式について、3次元空間で初期エネルギーが十分小さく局在する場合には解が時刻無限大で線形化方程式の解ヘエネルギーノルムで漸近する事を証明した。この方程式は3次元では、進行波解のエネルギーに正の下限値があり、それよりエネルギーが低い解は大域的分散性を示す事が予想されているが、この結果はその予想と進行波解の漸近安定性へ向けた重要な進展である。通常の非線形Schrodinger方程式として見れば、全ての平面波解がそのような摂動に対し漸近安定である事を示している。証明は線形分散性と非線形項の組み合わせから、低周波・高周波極限のSchrodinger方程式・波動方程式よりも強い(非線形)非共鳴構造を引き出している。類似の構造はBoussinesq方程式など水面波の方程式にも現れるので、normal formや特異性双線形評価など開発された手法とともに、非線形Schrodinger方程式を越えた広汎な発展が期待される。
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