2008 Fiscal Year Annual Research Report
極小力学系から生じる作用素環の分類と極小力学系の軌道同型について
Project/Area Number |
18740085
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松井 宏樹 Chiba University, 大学院・理学研究科, 准教授 (40345012)
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Keywords | 極小力学系 / 軌道同型 / 作用素環 / 群作用 |
Research Abstract |
T. Giordano(オタワ大学教授)・I. F. Putnam(ビクトリア大学教授)・C. F. Skau(ノルウェー科学技術大学教授)との共同研究によって、カントール集合上の極小な同値関係の軌道同型による分類に関して、成果をあげた。カントール集合上の極小力学系の研究は、C*環論やそのK理論・タイリング空間の研究などと密接に関わっており、私はこれらの複合領域で研究を行っている。Giordano・Putnam・Skauの3人による共同研究は1990年代から始められ、整数群がカントール集合に極小に作用している場合に、軌道同型による分類が確立された。また対応するC*環の分類も成され、強軌道同型という新しい概念も提案された。しかし一般の有限生成アーベル群による作用の場合には状況が飛躍的に複雑化してしまい、ほとんど進展の見られない状態が長らく続いていた。私を加えたこの4名はこの難題に取り組み、有限生成自由アーベル群のカントール集合への極小作用を軌道同型で分類することに成功した。これらの成果は、対応するC*環の分類やそのK理論の計算などにも応用されうる可能性を持っていると、期待されている。 単純なC*環への自由アーベル群の作用に関しても成果をあげた。具体的には、勝良健史(慶応義塾大学講師)との共同研究により、階数2の自由アーベル群のUHF環への作用を分類した。また、2個の生成元を持つCuntz環への階数Nの自由アーベル群の作用についても分類に成功した。さらに、泉正己(京都大学教授)との共同研究により、Kirchberg環という広いクラスのC*環に対して、階数2の自由アーベル群のある種の作用を分類する事にも成功した。これらの研究で培われたアイデアを極小力学系から生じるC*環に応用できないか、模索中である。
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Research Products
(6 results)