2006 Fiscal Year Annual Research Report
CDF実験におけるトップクォーク質量の精密測定と対共鳴生成の探索
Project/Area Number |
18740128
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
丸山 和純 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 講師 (80375401)
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Keywords | トップクォーク / 質量測定 / ボトムジェット / エネルギー較正 / シリコンバーテックストリガー |
Research Abstract |
今年度は、公約していたZボソンからボトムクォーク対への崩壊事象を使ったボトムジェットエネルギー較正を行った。トップクォークは標準理論ではほぼ1000/Wボソンとボトムクォークへと崩壊するので、そのエネルギーの精度良い較正は質量精密測定に必要不可欠である。現在までCDF実験ではシミュレーションに100%頼った較正を行い、それに伴う誤差を付けてきたが、実際のデータを使って較正を行うことが渇望されていた。クォークは我々が最終的に観測するときはジェットと呼ばれるハドロン(パイ中間子、陽子等)群となり、エネルギー較正を間違えやすい。 本較正で最も難しいのが、大量にある量子色力学から来る背景ジェット事象をどうオンライン系で少なくできるかである。そこで、私はシリコンバーテックストリガーと呼ばれるボトムジェットを効率よく選択できるトリガー系を使用して、まずぼとむ以外の事象を取り除くこととした。このトリガーのアップグレード計画にも参加し、トリガー1事象当りのプロセル時間を約半分にすることに成功し、高輝度ビームでも使用可能なトリガーにした。筑波でのこのテストベンチ作成のためVMEクレートとノートPCが購入された。 ここで取得されたデータを解析して較正結果を出すときに困難なのが、背景事象の見積もり方である。ボトムジェットを効率よく選択しても、ボトムジェット対を生成する量子色力学もあるからである。しかもその信号・背景事象比はZボソン質量再構成領域でも1体10以下である。我々は注意深く2ジェットの運動力学を使い、この背景事象をデータから見積もることで結果を得ることに成功した。その結果、データとシミュレーションのエネルギースケール比が0.974±0.02であることを解明し、現在までの較正値がほぼ打倒であったことを示した。これから、この結果をどう質量の測定に焼き直していくかを検討していく。
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