2006 Fiscal Year Annual Research Report
軽い中性子過剰核の分子的構造と核反応機構の統一的研究
Project/Area Number |
18740129
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
伊藤 誠 独立行政法人理化学研究所, 櫻井RI物理研究室, 協力研究員 (30396600)
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Keywords | 中性子過剰核 / クラスター構造 / 共鳴状態 / 移行反応 / 分解反応 |
Research Abstract |
本年度の研究では、前年度まで申請者自身が開発を進めてきた『一般化二中心クラスター模型』と『吸収積分核法』を^<10>Be=α+α+N+N系へ適用し、2α系の周りでの過剰中性子の一粒子運動状態(分子軌道状態)の形成とα+^<6>Heクラスター状態への構造変化の分析を行った。その結果、基底状態近傍では、分子軌道状態が発現するが、連続状態では、励起した^<6>Heとα粒子が緩く結合したクラスター状態が形成されることが明らかになった。更に新たに開発を進めた『断熱基底変分法』を適用することにより、α+^<6>Heの散乱問題と構造計算を直接連結することが可能となり、主に反応において観測される共鳴現象と核構造の関係について分析を進めた。その結果、正パリティ状態では、α+^<6>Heクラスター状態を経由する過程において、反応断面積が増大することが明らかになった。一方、同様の計算を負パリティ状態に適用したところ、同様な断面積の増大が得られたが、その起源はいわゆるLandau-Zenerタイプの非断熱遷移によることが判明した。これら一連の成果は、既に学術雑誌二編に発表され、また数回の国際会議、国内研究会にて報告されている。現在、これらの手法を^<12>Be=α+α+4N系へ拡張中である。 一方、本研究に関連するテーマとして、『時間依存波束理論』を(ハロー核)+(重い標的核)の反応へ適用し、融合断面積の分析を進めた。その結果、ハロー構造の効果は融合断面積を減少させることが明らかになった。これらの一連の成果も二編の学術雑誌、数回の国際会議、国内研究会で報告しており、先の研究と合わせて、交付金の一部をその旅費として使用した。 またこれまでは、数値データを主に二次元平面内に視覚化していたが、三次元的に可視化する新たなシステムを構築することを試みた。その結果、画像処理に優れたコンピュータシステムを新たに導入する必要性が生じた。その為、新たにノートパソコンと周辺システム一式を購入し、この画像処理システムの構築を進めた。交付金の一部は、こうしたコンピュータシステムの購入に充てられている。
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Research Products
(6 results)