2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740147
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
井岡 邦仁 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80402759)
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Keywords | ガンマ線バースト / 放射機構 / 電子陽電子対 / GLAST衛星 / 暗いGRB / ブラックホール / 中性子星 / ジェット |
Research Abstract |
ガンマ線バースト(GRB)は宇宙最大の爆発である。その最初の三時間が標準モデルを変更するほどの大問題であることを明確にしたことは、これまでの大きな成果の一つである。GRB最初の三時間の様子は、GRB専用衛星Swiftが2005年に打ちあがってはじめて観測できるようになった。その結果、当初予想されていたよりもGRBは急激に暗くなった後、減光が弱まりダラダラと放射が続くことが分かった。我々は、急激な減光の理論的意味を考察し、GRBの放射効率が90%以上という異常に高いものでなければならないことを示した。これまでのGRBの放射モデルでは、ここまで高い値を実現するのは大変困難である。我々は、高い放射効率を実現するモデルを提唱し、GeVガンマ領域に青方変移した電子陽電子対の消滅線が現れることを予言した。来年打ち上げ予定のGLAST衛星の重要なターゲットになることは確実で、たとえ観測されなくてもそこから重要な制限が得られることが分かった。これにより、宇宙一明るい天体がどのように光っているのか、という基本的な問いに答えられる可能性がある。また、最近の観測から、非常に暗いGRBが存在し新たな種族を形成しているかもしれないことが分かってきた。我々はGRBと残光の性質を解析することで、このような暗いGRBもジェットで作られる可能性があることを示し、ジェットが非常に長時間滑らかに放出されていることから中心エンジンはブラックホールではなく中性子性である可能性を示した。
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Research Products
(9 results)