2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740147
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
井岡 邦仁 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80402759)
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Keywords | ガンマ線バースト / 放射機構 / GeVガンマ線 / Fermi衛星 / 電子・陽電子 / 宇宙線 / Auger実験 / 無衝突衝撃波 |
Research Abstract |
ガンマ線バースト(GRB)は宇宙最大の爆発である。GeVガンマ領域に青方変移した電子陽電子対の消滅線が現れる可能性を示したことは、これまでの大きな成果の一つである。現在、活躍をしているFermi(旧GLAST)衛星の重要なターゲットになることは確実で、たとえ観測されなくてもそこから重要な制限が得られることが期待される。そこで本年度は、去年度までの研究をさらに押し進めて、対消滅線(と対消滅吸収カットオフ)からどのような情報が引き出せるのかを明らかにした。これまではカットオフだけを用いていたが、対消滅線を用いることによって制限がさらに強くなるごとが分かった。今後、我々の手法を実際にFermi衛星の観測結果に適用することで、宇宙一明るい天体がどのような物理状態で光っているのか、という基本的な問いに近づける可能性がある。 一方昨年度、Auger実験が最高エネルギー宇宙線の非等方性に関する論文を発表し皆を驚かした。GRBも最高エネルギー宇宙線の有力な源の一つであり、GRBで最高エネルギー宇宙線が加速されているかどうかは、本研究テーマである無衝突衝撃波での粒子加速機構に対して重要な示唆を与えうる。また、Augerの結果は宇宙線が鉄などの重い原子核である可能性も示唆しており、GRBで鉄が加速できるのかどうかを調べることは重要である。そこでGRB中での原子核の破壊プロセスを考慮して、最高エネルギー宇宙線の加速可能性を検討した。その結果、重い原子核は十分に生き残れるパラメータが存在することが分かり、それは我々が本研究で提案した非常に暗いGRBが起源であった場合に対応することが分かった。これは暗いGRBが今後の研究対象として非常に面白いことを示唆する。最高エネルギー宇宙線だけでなく高エネルギーニュートリノやガンマ線の観測によって、無衝突衝撃波に対する情報が得られることも議論した。
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Research Products
(8 results)