2007 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ量子ドットのテラヘルツ物性開拓と単一光子検出器の開発
Project/Area Number |
18740176
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
河野 行雄 The Institute of Physical and Chemical Research, 石橋極微デバイス工学研究室, 研究員 (90334250)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 量子ドット / テラヘルツ / 光子支援トンネル / クーロンピークシフト / 2次元電子ガス |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ量子ドットのテラヘルツ電磁波応答について、昨年度力ちさらに、以下の進展があった。 1.THz光子支援トンネル電流の照射強度依存性の観測 光子支援トンネルによる電流ピーク値が、照射強度に対してベッセル関数的依存を示すことが理論的に予測されているものの、テラヘルツ領域での観測例はない。本研究では、照射テラヘルツ光のパワーを変えることによって、この問題の検証を試みた。実験結果から、クーロンピークと光子支援トンネルによるサイドピークが、照射強度に対してそれぞれ全く逆の振る舞いを示すことが明らかにされた。ベッセル関数への完全なフィットまでは得られなかったが、理論から予想される傾向と一致することを見出した。この結果も、照射テラヘルツ光に対して量子ドットが古典的に応答しているのではなく、光子支援トンネルによって電子波の新しい伝導チャネルが発生していることを強く支持する。 2.カーボンナノチューブ量子ドット-GaAs2次元電子ガス複合素子でのTHz応答 昨年度、光子支援トンネルとは別のメカニズムによるTHz応答(クーロンピークシフト)を観測した。この応答は、カーボンナノチューブ直下のSiO_2層のトラップ準位が関与しており、THz光に対して著しい高感度性を示すことが分かった。ところが、トラップ準位という制御性の悪い性質を利用しているため、検出器作製の観点からは不利であった。この改善のため、トラップ準位の代わりに、GaAs2次元電子ガスを利用した新しい検出器を開発した。アイディアは、2次元電子ガスのサイクロトロン吸収による静電ポテンシャル変化を間近のカーボンナノチューブ量子ドットによって読み取る機構である。この複合素子のTHz応答の観測から、サイクロトロン共鳴時においてクーロンピークシフトが最大になることを確認した。
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