2007 Fiscal Year Annual Research Report
クロムスピネルにおける磁場誘起相転移および磁化プラトー状態の解明と探索
Project/Area Number |
18740194
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植田 浩明 The University of Tokyo, 物性研究所, 助教 (10373276)
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Keywords | 強相関電子系 / 磁性 / 低温物性 |
Research Abstract |
昨年度までの研究から,本研究の対象である磁気転移は,カドミウムおよび水銀のクロムスピネル以外にも,亜鉛のクロムスピネルでも観測されることが判明した.また,圧力の印加によって反強磁性相互作用が増大し,磁気転移を起こす磁場も上昇することが明らかになっている. 磁気転移が発見された三つの系を比較することにより,スピン格子相互作用の役割が明らかになってきている.キュリーワイス温度の圧力依存性から,スピン格子相互作用は.水銀系が最も大きく,カドミウム系,亜鉛系と徐々に小さくなっていくことが分かった.それに伴い,磁気的なエネルギーに対する磁気転移の起こる磁場の大きさが変化し,さらに亜鉛の系では新たな磁気相が出現していることが判明した. 一方,圧力の印加によって反強磁性相互作用の大きさを変化させることによって,もともと強磁性的な相互作用を持つ亜鉛の硫黄スピネルにおいて,相互作用を反強磁性的にすることに成功した.しかし,14Tまでの磁場の範囲では磁気転移は示さなかった.これは,観測された反強磁性は,次近接相互作用等を足し合わせたもめで,測定を行った圧力においては,最近接相互作用は反強磁性にはなっていないためと考えている.さらに高圧を印加することによって,最近接相互作用を反強磁性にすることができれば,同様の磁気転移を引き起こすことができると予想している.
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