2006 Fiscal Year Annual Research Report
多成分ボースアインシュタイン凝縮体におけるソリトンと位相欠陥の物理
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18740213
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
笠松 健一 石川工業高等専門学校, 一般教育科, 講師 (70413763)
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Keywords | ボースアインシュタイン凝縮 / 超流動 / 冷却原子 / 量子渦 / パターン形成 / ソリトン / 変調不安定性 / 光格子 |
Research Abstract |
原子気体Bose-Einstein凝縮体(BEC)における量子渦とソリトンの構造とダイナミクスに関して以下の内容を明らかにした。 (1)2次-4次ポテンシャル中の回転2成分BECの安定状態を、回転振動数と異成分原子間相互作用をパラメータとして幅広く取って調べ、相図を作成した。凝縮体全体の形は閉じ込めポテンシャルの形が遠心力ポテンシャルの効果で、いわゆる「メキシカンハット」型になり、これと異成分間の相互作用効果により、2成分特有の渦状態が安定化する事を明らかにした。 (2)2成分BECの変調不安定な条件とそれにともなう孤立波形成のダイナミクスを調べた。一様に混ざった2成分BECは、成分の異なる凝縮体が交互に配置するマルチドメイン構造を形成する。これらのドメイン間には波動関数の位相の空間的な飛びが見られ、各ドメインがソリトン的な性質を有している事が明らかとなった。また異成分原子間相互作用が引力の場合も調べ、その場合には両成分が完全に重なり合った明るいソリトンが生成する事を明らかにした。 (3)量子渦をもつBECの回転振動数とは異なる振動数で回転する光格子が挿入された状況を想定し、駆動されたピンニングに対する量子渦の応答を調べた。BECと光格子の相対回転振動数とピニングポテンシャルの強さに対する渦の動的振る舞いに関する相図を調べ、光格子の回転が遅いときは、光格子の周期と整合な渦格子がピンニングされたまま光格子と共に回転する相が実現するのに対し、光格子の方がBECよりも速くなると、更なる渦の侵入により、非整合な渦との相互作用を介した渦格子の融解が引き起こされる。この渦液体状態はエネルギー注入と散逸のつり合いで実現する一種の散逸構造であり、Frenkel-Kontrovaモデルなどで調べられている駆動された多粒子系の非平衡ダイナミクスとも密接に関連している。
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