2006 Fiscal Year Annual Research Report
高圧、強磁場下中性子散乱による超ウラン化合物の多極子秩序の研究
Project/Area Number |
18740219
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本多 史憲 大阪大学, 大学院理学研究科, 助手 (90391268)
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Keywords | アクチノイド化合物 / 中性子回折 / 一軸圧力下物性測定 |
Research Abstract |
今年度は本課題の初年度にあたり、主に研究を遂行するための高圧装置の開発、情報収集に取り組み、研究の足場を固めることにつとめた。 超ウラン化合物専用一軸加圧型高圧装置の製作では、中性子回折実験用とSQUID磁束計に使える装置をそれぞれ設計・製作した。これまで製作されている一軸加圧装置では、圧力を低温まで保持するためCuBe製の円筒に切り込みを交互にいれたバネ機構が採用されていたが、これはバネ定数が大きすぎて比較的小さな一軸圧の実験の場合にバネとしてはたらかないことがわかった。そこで、ステンレスやCuBeを利用したコイルバネを製作し、小さな圧力でも低温まで荷重を保持できる圧力セルを製作した。この圧力セルの開発については平成19年3月に鹿児島大学で行われる日本物理学会2007年春期大会において報告を行う予定である。また超ウラン化合物の実験は密封状態で行うため、温度センサーなどの配線を施し気密を保つことができる中性子散乱実験用の試料密封容器を作製した。実際にこの密封試料容器を使用して中性子回折と電気抵抗の同時測定を希土類化合物Ce2Ni3Ge5に対して行った。この結果については、平成18年9月にポーランドのブロツラフで行われたf電子系化合物に関する国際会議(Icfe'06)で発表し、論文を執筆した。 さらに本研究課題の核となる物質の一つである超ウラン化合物NpNiGa5について中性子回折による研究を進め、四極子秩序と磁気秩序が共存している可能性をつきとめ、平成18年9月にチェコで行われた第8回f電子系化合物に関するプラハコロキウムで講演を行い、論文を発表した[1]。この論文自体は平成18年1月に投稿したものだが、平成18年8月の再投稿前に本研究費を用いて追実験等を行って、研究を完成させることができた。 [1]F.Honda et al.,Phys.Rev B,74(2006)144413.
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