2007 Fiscal Year Annual Research Report
高圧、強磁場下中性子散乱による超ウラン化合物の多極子秩序の研究
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18740219
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本多 史憲 Osaka University, 大学院・理学研究科, 助教 (90391268)
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Keywords | アクチノイド化合物 / 希土類化合物 / 純良単結晶 / 壁下超高圧下物性測定 / 共鳴x線回折 / 圧力誘起超伝導 / 量子臨界点 |
Research Abstract |
最近注目されている希土類・アクチノイド化合物の新奇な電子物性の発現機構を調べるため、純良単結晶を用いて、超高圧・強磁場・極低温のいわゆる複合極限条件下における電気抵抗測定や強磁場中における放射光を用いた共鳴x線散乱実験、中性子回折実験を行った。 2007年にNp化合物では世界初となる重い電子系超伝導体NpPd_5Al_2が発見されたため、当初より計画していた超ウラン化合物を測定できる静水圧型高圧装置を前倒しで開発し、6 GPaまでの高圧下における電気抵抗測定を行なった。NpPd_5Al_2の超伝導転移温度T_<sc>、臨界磁場H_<c2>は圧力の増加にともなって次第に減少し6 GPaで超伝導が消失することを明らかにした。このことから、NpPd_5Al_2の電子状態が常圧で量子臨界点近傍にあることを見いだした。さらに同系物質の反強磁性体CePd_5Al_2が圧力下で超伝導を示すと考え、純良単結晶を育成、超高圧下電気抵抗測定により10 GPa付近で超伝導を示すことを見いだした。この研究のためダイヤモンドアンビル型高圧装置、超低温実験装置の開発も行った。 アクチノイド化合物の電子状態、特に多極子秩序に関するミクロな情報を得るためNpCOGa_5、NpRhGa_5の放射光によるNpとGa吸収端における共鳴x線回折実験をグルノーブルのグループと共同で行った。この結果、Npの5f電子はGaのp電子と強く混成しており、この混成相互作用がこの物性の奇妙な反強磁性の発現に大きく寄与していることがわかった。また、この物質における反強四極子秩序は確認されなかった。われわれの中性子散乱による研究では強四極子秩序の存在を期待しているので、これを明らかにする、ためには引き続き研究が必要である。 アクチノイド化合物用-軸圧力発生装置の開発も行ったが、低い圧力での荷重制御が今のところ困難であり、もう少し工夫が必要である。次年度には完成させ中性子回折実験を行いたい。
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