2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740225
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 良行 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 研究員 (50415767)
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Keywords | 層状ペロブスカイト構造 / ルテニウム酸化物 / Ca3Ru207 / 静水圧力 / 一軸性圧力 |
Research Abstract |
今年度はSr3Ru207及び,Ca3Ru207の大型単結晶を浮遊帯域溶融法(FZ法)により育成を試み、原料組成,育成速度、育成雰囲気などの育成条件を詳細に最適化した結果、圧力測定に適した大きさの大型単結晶の育成することに成功した。これらの単結晶のうち、Ca3Ru207に関する圧力実験、具体的には静水圧力中での電気抵抗の温度依存性、及び、一軸性圧力下での磁化の温度依存性の測定を行った。 層状ペロブスカイトRu酸化物であるCa3Ru207は56Kで反強磁性転移を示し、さらに48Kで格子定数が変化する一次の相転移を起こすことが知られている。また、電気抵抗の温度依存性には大きな異方性が存在し、面内抵抗は30K以下で擬二次元的な金属であることが近年、報告されている。我々は静水圧力によりこれらの逐次転移の変化をみる目的で、静水圧力下中における電気抵抗の測定を行った。その結果、56Kの反強磁性転移と48Kの金属非金属転移が4.OGPaには消失し、8.OGPa以上では金属的な振る舞いを示すことが明らかになった。 また、静水圧力は全方向に圧力を加えるのに対して、一軸性圧力による圧力効果をみる目的で、Ru02面に垂直な方向であるc軸方向の一軸性圧力下で磁化率の測定を行った。常圧と0.9GPaまでの一軸性圧力におけるc軸方向での磁化率の温度依存性の結果から、約100K以下の温度範囲で磁化率の絶対値が減少し、さらには、56Kの反強磁性転移の方が、48Kの構造相転移よりも大きく影響を受けていることが明らかになった。 これに加えて、共同研究者に試料を提供することで、Ca3Ru207の常圧での熱電能の測定も行った。
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