2007 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュにおけるプレモンスーン期のメソ擾乱の特性とその要因の研究
Project/Area Number |
18740296
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木口 雅司 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 産学官連携研究員 (30422918)
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Keywords | プレモンスーン / バングラデシュ / メソ擾乱 / 降水現象 / データ解析 / 高層ゾンデ観測 / 気候学 / 気象学 |
Research Abstract |
研究計画最終年度の平成19年度は,主に3つの事を行った.集中観測の実施,データ解析,論文執筆である. 昨年度末の現地訪問によって,設置準備並びに試験観測をすでに成功裏に終え,またバングラデシュ気象局との交渉も既に最終段階まで進めていた結果,我々は年度初めにもかかわらず短期間で細かいスケジュール調整をすることができた.当初の計画通り1日2〜3回の集中観測を4月20日から5月14日までの25日間,計61回の観測を行った.この集中観測期間中,2度のメソ擾乱の活発な時期を捉えることができ現地新聞に掲載されるような被害を伴うメソ擾乱だけでも13回を数えた.この好条件が得られた背景には,昨年度行った解析との連携を掲げた本研究の工夫を充分活かすことができた結果といえよう.また,現地メディアによる本研究観測の取材を通じて,日本による科学技術の貢献をバングラデシュ国民に伝えることができたのは幸運であった. 上記のデータ解析を行った結果,次に示す興味深い結果が得られた.メソ擾乱が発生した期間中,対流圏上層にトラフが存在することが分かった.この地域がプレモンスーン期には中緯度風系の影響を強く受けていることが,観測的研究から示された.また,鉛直分解能に優れたゾンデ観測を集中的に行った結果,トラフの詳細な鉛直構造を明らかにすることができた. これらの解析結果は日本気象学会秋季大会,アメリカ地球物理学連合秋季大会で発表された.本研究成果は,日本地球惑星科学連合2008年大会で発表,更にGeophysical Research Lettersへの論文投稿が予定されている.英文校正は既に終えている. 最後に,現地滞在・観測指揮によって,バングラデシュ気象局との高度な信頼関係構築並びに今後の共同研究を含めた「科学技術外交」の推進に微力ながら貢献することができた.
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Research Products
(2 results)