2007 Fiscal Year Annual Research Report
モンスーン低気圧に伴う大気鉛直構造変化の高分解能観測
Project/Area Number |
18740298
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
村田 文絵 Kochi University, 理学部, 助教 (60399326)
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Keywords | インドモンスーン / 水循環 / 洪水 / 気象観測 / 国際研究者交流 / バングラデシュ |
Research Abstract |
モンスーン低気圧はインドモンスーンの雨季(6-9月)にベンガル湾〜インド北西部に現れる1000km(総観規模)スケールの擾乱であり、擾乱の通過はしばしば多量の降水をもたらして洪水の原因となる。しかしモンスーン低気圧をターゲットとした観測は1970年代後半に実施されたMONEX国際観測プロジェクト以降あまり活発でなく、現在のより高い高度分解能(100m 以下)をもつ測器を用いて、またこの気象擾乱の構造を得るのに必要な時間間隔(12時間間隔或いはそれ以上)で観測を行う集中観測がほとんど行われていなかった。そこで本研究は2007年雨季に洪水災害で知られるバングラデシュの首都ダッカにおいて、高層気象観測の集中観測をバングラデシュ気象局の協力の下で実施し、(1)モンスーン低気圧がバングラデシュに及ぼす効果及び(2)モンスーン低気圧の内部構造について解析を実施した。 集中観測によって4つのモンスーン低気圧を観測することができた。このうち2つはダッカの南のベンガル湾上で発生しダッカの西を通過した。他の2つはダッカ近傍で発生し西に進んだ。観測されたモンスーン低気圧に伴う活発な雲分布は顕著な非対称の構造を示し、低気圧中心の南〜南西象限に降水活発域が集中していた。(1)観測地点ダッカはモンスーン低気圧の中心より北及び中心付近を観測したため強い降水が観測されなかった。その一方でバングラデシュでは7月中旬〜下旬にかけて大洪水が生じたが、これはモンスーン低気圧によるものではなくモンスーントラフの北上という現象によって生じていた。(2)熱力学的な大気鉛直構造はモンスーン低気圧が南に発生している間バングラデシュではむしろ対流が抑制されたことを示した。また過去の研究においてモンスーン低気圧の中心付近の気温の観測結果に不一致があるが、今回観測された中心付近の気温は台風に似て周囲より暖かいという結果が得られた。
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Research Products
(2 results)