2007 Fiscal Year Annual Research Report
夏季モンスーン期の東アジア域における降水系の地域特性
Project/Area Number |
18740303
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
茂木 耕作 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境観測研究センター, ポストドクリラル研究員 (70421881)
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Keywords | モンスーン / 降水系 / 気象学 |
Research Abstract |
本年度は,西部熱帯太平洋における対流活動の特殊性を示す研究の一環として,二つの課題について明かにした。まず,ニューギニア島からの陸風前線によって発生した対流系が,800kmもの距離を北進するメカニズムを調べた。通常,陸風前線は,海岸からせいぜい200km以下の距離しか伝播しないが,パラオ付近に偏東風波動と呼ばれる赤道域における低気圧が存在しているときには,非常に長い距離を伝播できることが分かった。この結論が意味するのは,通常陸からの影響を受けないオープンな海域として捉えられてきたパラオ周辺でも,「偏東風波動の通過」という条件下では,「陸の影響が及びうる」ということである。この事例解析によってこの領域の地域特性の一面を切り出すことができたといえる。 さらに,過去の統計的な研究で示唆されていた西部熱帯太平洋上における対流活動が日本付近の現象にも密接に関連している,というテーマについて,その証拠をより直接的に示す研究を行った。全球気象モデルにおいて西部熱帯太平洋域の観測データの有無によるインパクトを調べた。その結果,この領域の風の場が,梅雨前線付近の風の場に対して明瞭なインパクトを持っていることが分かった。このような事実は,これまで長らく間接的に示唆されてきた日本の気象・気候の理解における西部熱帯太平洋上の対流系研究の重要性を改めて直接的に示している。また,この研究を通じて,各地域の特別観測データの有効性を客観的に評価する手法を確立することができた。
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Research Products
(5 results)