2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740306
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
高谷 康太郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 研究員 (60392966)
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Keywords | 冬季東アジアモンスーン / シベリア高気圧 / 季節進行 / EUパターン / WPパターン / 中高緯度大気循環 / 寒冬・暖冬 / ENSO |
Research Abstract |
本年度は、客観解析データ(観測データ)の解析により、冬季東アジアモンスーンの経年変動に伴う大気循環偏差場のパターンを特定することを主な目的としていたが、その研究に大きな前進が見られたので以下に報告する。冬季東アジアモンスーンの経年変動に伴って、真冬の対流圏上層には典型的な2つのタイプが見られる。一つは波束伝播パターンで、いわゆるEUパターンと似ており、ユーラシア大陸上での偏西風の変動(蛇行など)に対応する。もう一つはWP的なパターンで、これは北西太平洋上での偏西風の変動に対応する。この2つのパターンは、冬季モンスーンの経年変動で大きな役割を果たす。 EU的パターンは初冬と晩冬にも卓越する。一方、WP的パターンは真冬により顕著に現れる。これらの理由は以下のとおりである。対流圏下層の気温は、中緯度の東部ユーラシア大陸上で、晩秋から初冬にかけての季節進行では特に強い寒冷化を、真冬から晩冬にかけては特に強い温暖化の、それぞれ特徴的な様相を示す。この季節進行を強化または弱化させるような大気循環場の特徴をEU的なパターンが持つため、初冬と晩冬ではEU的パターンが卓越すると考えられる。一方、初冬から真冬にかけては、季節進行に伴う強い寒冷化の領域は日本付近に移るため、これを強化または弱化させるようなパターンであるWP的な循環が真冬に卓越することとなる。 また、さらに、エルニーニョやラニーニャというENSO活動と冬季東アジアモンスーンの活動との関連を調査し、ENSOの影響が初冬と晩冬では異なることを示した。また、ラニーニャでかつ寒冬と言う月と、ラニーニャながら非寒冬という月との大気循環場の違いを明らかにした。同様に、エルニーニョかつ暖冬の月とエルニーニョかつ非暖冬の月との間にも相似な違いがあることを示した。 以上、研究に大きな前進が見られた。現在はこれらの成果を基に、複数の論文を作成中である。
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Research Products
(1 results)