2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740306
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
高谷 康太郎 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境フロンティア研究センター, 研究員 (60392966)
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Keywords | 冬季東アジアモンスーン / シベリア高気圧 / 寒冬・暖冬 / 中高緯度大気循環 / 北極振動(AO) / 予測可能性 / WPパターン / EUパターン |
Research Abstract |
本年度も引き続き、冬季東アジアモンスーンとそれに関連する大気循環変動の解明の為の研究を行った。今年度の成果は、大きく2つに分ける事が出来る。一つ目は、冬季東アジアモンスーン変動に大きな影響を及ぼす北極振動(AO)的な循環変動の時間発展を、客観解析データ(観測データ)の解析を通じ解明したことである。AO的循環変動は、北東シベリアに存在する冬季寒気中心に大きな影響を及ぼす事により、北日本から北東シベリアにかけての領域を中心とする気温変動をもたらす傾向にある。そこで、真冬(1月)に見られるAO的な循環の典型的時間発展を調査した結果、1月のAO的な循環偏差の形成に先立つ晩秋(11月)のユーラシア大陸上に、大気循環異常の前兆が観測される事が明らかになった。この前兆現象としての大気循環異常が、惑星波の上向き伝播異常をもたらし、翌月(12月)の成層圏の極渦の強さを変化させ、その極渦変化が徐々に下方に拡大し、真冬のAO的な構造が形成される。この成果により、真冬の日本付近の天候の予測可能性向上が期待される。なお、この成果は、国際学術誌に投稿、出版されている。 二つ目は、日本東方海上の中緯度大気海洋相互作用の研究に着手した事である。日本東方海上は、黒潮・親潮続流域と呼ばれる領域であるが、この領域の海水温変動が大気循環に影響を及ぼす可能性が最近指摘されている。これは、続流域の海水温変動が移動性高低気圧の活動に影響し、北太平洋上の大気循環変動をもたらすもので、冬季東アジアモンスーンにも一定の影響を及ぼすと考えられるが、そのメカニズムはほとんど明らかにされていない。よって、観測データの解析に加え、地球シミュレータを用いた大気(海洋)数値モデルを用いた実験研究に着手し、中高緯度大気海洋相互作用の機構解明の為の研究を進めている。 以上、研究に大きな前進が見られた。これらの成果を基に、さらに複数の論文を作成する。
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Research Products
(13 results)