2006 Fiscal Year Annual Research Report
固体圧変形実験による反応進行下における玄武岩の変形メカニズムの解明
Project/Area Number |
18740317
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡本 敦 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助手 (40422092)
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Keywords | 玄武岩 / 沈み込み帯 / 吸水・脱水反応 / 流体移動 / 鉱物脈 / 三波川変成帯 / 結晶成長組織 / 鉱物最比 |
Research Abstract |
本年度は玄武岩の反応実験と、沈み込み帯における流体移動の証拠である鉱物脈の解析を行った。 玄武岩の反応実験:出発物質として、(1)パナマ沖の初生的な海洋底の玄武岩、(2)四国四万十帯のメランジュ帯に産する玄武岩、(3)丹沢山地の塩基性岩、(4)三波川変成帯の緑泥不帯と(5)黒雲母帯に産する塩基性片岩を採取した。熱天秤を用いて含水量を測定したところ、(1)0.6wt%、(2)3.7 wt%、(4)3.8 wt%、(5)0.8 wt%と沈み込みに伴って、玄武岩は吸水から脱水に転じていることが確認された。丹沢山地の塩基性岩にっいて、700℃、0.7 GPa(角閃岩相)の条件下で96時間の脱水反応実験を試みた。実験後、薄片観察したところ、顕著な反応の進行は認められなかった。来年度は試料の粉末化、水の封入により反応を促進させ、変形との関連性を明らかにする予定である。 三波川変成帯の鉱物脈の解析:沈み込み帯において進行する吸水・脱水反応に関与する流体移動の直接的な証拠の1つは沈み込み帯岩石中に存在する鉱物脈である。三波川変成帯関東山地に産する泥質片岩中の鉱物脈の組織と鉱物量比を解析した結果、三波川変成帯の上昇期には、石英+曹長石+緑泥石+カリ長石脈(タイプ1)と石英+曹長石+方解石脈(タイプII)が存在することが明らかとなった。タイプ1は母岩から鉱物が成長し、近接する母岩の組成に対応して脈内部の鉱物の量比が変化する。一方で、タイプIIは倉形で同心円状の成長累帯構造を持ち、充填鉱物は母岩の組成に無関係で一定である。一回のき裂の開口幅はタイプ1の方が0.05mm以下であるのに対して、タイプIIは0.5-5mmと全く異なる。すなわち、開口幅が大きくなるにつれて、充填鉱物の元素の移動機構が母岩からの拡散からき裂中の流体の移流へと変化したことを示している。
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Research Products
(4 results)