2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740338
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
横山 正 大阪大学, 理学研究科, 助手 (60403101)
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Keywords | 岩石・水反応 / 電気二重層 / 遠心分離 / 流紋岩 / 間隙水 |
Research Abstract |
高速遠心分離器を用いて岩石(多孔質流紋岩)の間隙水を抽出し,段階的に遠心力を上げて溶存イオン濃度の変化を調べた.遠心力が0-1000Gでは溶存イオン濃度(Li^+,Na^+,K^+,NH_4^+,Ca^<2+>,Mg^<2+>,Cl^-,NO_3^-,SO_4^<2->)に顕著な変化は見られなかったが,1000-10000Gではこれらの濃度が増加した.溶存Siの濃度は遠心力によらず一定もしくは>1000Gで減少した. 一般にシリケイトの固体-水界面では固体表面は負に帯電していて,溶存の陽イオン濃度は表面に近づくに連れて高くなり,陰イオン濃度は逆に低くなると考えられている.このような界面近傍での濃度プロファイルは電気二重層と呼ばれ,その厚さは<1μmであり,>1μmの領域はバルク組成になる.すなわち,細い間隙中の水の組成はバルク組成とは異なっている.遠心力が高いほどより細い間隙にある水が抽出されるため(1000Gでの間隙半径は約1μm),遠心力が上がるに連れて間隙水の組成は界面近傍の組成に近くなると予想される.陽イオン濃度が遠心力の増加に連れて増加したのは電気二重層中の濃度プロファイルと調和的だが,陰イオン濃度の増加は電気二重層では説明できない. 岩石の間隙水中では岩石が溶解し,遠心分離中にも陽・陰両方のイオンが溶出する.高い遠心力ほど時間的により後になるので,溶解量は多くなる.本実験で得られた結果は,Cl^-,NO_3^-,SO_4^<2->などの陰イオンに関しては溶解の影響が大きいと考えられ,界面近傍での組成を知るためには溶解分の補正が重要になる.しかし,実験で得られた結果には界面近傍での組成変化が一部は含まれていると考えられる.特に,最も溶解量が多いSi濃度が>1000Gで減少するのは興味深く,Siは通常安定なSi(OH)_4(電荷ゼロ)の溶存状態ではなく,陰イオンとして溶存している可能性が示唆される.
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Research Products
(1 results)