2006 Fiscal Year Annual Research Report
リチウム同位体を用いた大規模火成作用の起原物質の解明
Project/Area Number |
18740347
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
西尾 嘉朗 独立行政法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, 研究員 (70373462)
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Keywords | リチウム / 同位体 / 大規模火成作用 / 質量分析 / 二次変質 |
Research Abstract |
リチウム(Li)同位体組成は他の元素同位体と比べても二次変質の影響を受けやすい。本年度はLi同位体分析により適している変質の影響の少ない大規模火成作用に関する試料の提供を受けるために国内出張を行った。さらに,海外研究者と電子メールでの打ち合わせを終え,近日中に試料の提供を受ける予定となっている。試料分析の準備に関しては,新型のマルチコレクターICP質量分析装置(MC-ICP-MS)であるFinnigan NEPTUNEを用いての極微量リチウムの高精度同位体分析手法の確立を実施した。研究代表者がこれまで用いていた旧世代のMC-ICP-MS分析装置であるGV Instrument IsoProbeでは分析装置の不安定性からもたらされる分析値の不確かさが±0.8%・(2SD)もあったが,これをNEPTUNE分析では±0.2‰(2SD)まで下げることに成功した。従来以上に高精度のリチウム同位体データは,同時に測定したストロンチウムやネオジムといった汎用される元素同位体と比較することで,試料が受けた二次変質の影響と起源物質の推定に関してより詳細に議論する事を可能とする。同時に従来のIsoProbe装置では45ngLi以上のリチウムを分析に必要としたが,現在までに40ngLiで分析できるようにした。平成19年度前半までに,最小では4ngLiがあれば分析可能となるシステムを構築する。また本年度中に二次イオン質量分析計(SIMS)を用いての大規模火成岩試料中のCPXのリチウム同位体分析に起きる可能性があるマトリックス効果に関する基礎調査も実施した。同時に大規模化成作用に関係する試料で既に取っていたデータを基に大規模火成作用の議論に必要不可欠となる研究結果を本年度中に執筆して査読付き雑誌に発表した。
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[Journal Article] Isotope systematics of Li, Sr, Nd, and volatiles in Indian Ocean MORBs of the Rodrigues Triple junction : constraints on the origin of the DUPAL anomaly2007
Author(s)
Nishio, Y., Nakai, S., Ishii, T., Sano, Y.
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Journal Title
Geochimica et Cosmochimica Acta 71
Pages: 745-759
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