2007 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレントラマンイメージングによる生細胞のin-vivo追跡
Project/Area Number |
18750007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加納 英明 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (70334240)
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Keywords | コヒーレント・アンチストークス・ラマン散乱 / CARS / フォトニック結晶ファイバー / スーパーコンティニューム光 / ラマン分光 / 顕微分光 / 生細胞 |
Research Abstract |
本研究では,申請者が開発したマルチプレックスCoherent Anti-Stokes Raman Scattering (CARS)顕微分光装置を用いることで,生細胞のin vivo計測を行った.CARS光は高強度でかつ指向性があり,イメージを高速に得ることができる.これに加え,CARSスペクトルを取得することにより,複数の振動共鳴した信号を同時に測定可能である.このため,細胞内の構造をマルチカラーで高速に可視化することができる.本年度は,分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)の細胞分裂過程をin vivo計測することを試みた.その結果,C-H伸縮振動による明瞭なCARSイメージを得ることに成功した.酵母の内部には,信号強度の強いスポットが複数箇所存在し,分裂中に細胞内を移動する様子が観察できた.これらはリン脂質を豊富に含むミトコンドリア等の膜系オルガネラであると考えられる.また,分裂前には,細胞中央付近に多糖類から構成される隔壁が出現することも可視化できた.以上のように,CARSを用いることで生細胞のダイナミクスを追跡することに成功した.これに加え,スーパーコンティニューム光を用いることで,二光子励起を行うことも可能であることがわかった.二光子励起によって生じる蛍光がCARSとスペクトル的に分離できたため,同じ光学系でCARSと二光子蛍光の同時測定が可能となった.これにより,緑色蛍光蛋白(GFP)で核を染色した酵母生細胞について,核を明瞭に可視化することにも成功した.CARS,二光子蛍光を効果的に用いた本方法により,生きた分裂酵母の細胞分裂過程に伴う様々なオルガネラのダイナミクスを明瞭に可視化することができた.
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