2006 Fiscal Year Annual Research Report
4族遷移金属-シリレン錯体の創製とそれを触媒とする新規重合反応の開発
Project/Area Number |
18750026
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
中田 憲男 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 助手 (50375416)
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Keywords | シリレン錯体 / ケイ素 / ハフニウム / ジリチオシラン / 二重結合 |
Research Abstract |
カルベン錯体のケイ素類縁体であるシリレン錯体(L_nM=SiR_2)は、これまでに様々な6-10族遷移金属を含むシリレン錯体が開発され、それらの構造や反応性のみならず触媒効果について報告されている。しかしながら、いずれのシリレン錯体もケイ素上が高い求電子性を示すFischer型錯体であり、Schrock型シリレン錯体、即ち中心金属が高酸化状態となる前周期遷移金属シリレン錯体についてはこれまで全く報告例はなく、未踏の領域であった。本研究では、ケイ素ジアニオン種であるジリチオシラン(1)を鍵反応剤とし、4族遷移金属メタロセンジクロリドとの反応から4族遷移金属-シリレン錯体の合成を検討したところ、ハフニウムの系において暗緑色を呈する16電子錯体(2)の発生に初めて成功した。しかしながら、錯体2は熱的に極めて不安定であり、容易に分子内環化反応を起こしてしまうため、求核剤としてトリメチルホスフィンを添加したところ、熱的に安定な18電子シリレン錯体(3)としての単離に初めて成功した。各種NMRスペクトルならびにX線結晶構造解析により、錯体3の分子構造を決定した。ケイ素-ハフニウム間距離は2.6159(9)Åを示し、これまでに報告されている値の中で最も短い値であるとともに、二重結合性を有することが明らかとなった。また錯体3のケイ素-ハフニウム間における不飽和結合の性質を解明するため、理論計算による電荷分布を見積もったところ、ケイ素上に陰電荷が、ハフニウム上に陽電荷がそれぞれ極在化しており、Schrock型シリレン錯体の性質を有することが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)