2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18750050
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
有川 康弘 長崎大学, 工学部, 助手 (30346936)
|
Keywords | 一酸化窒素 / メタラサイクル / 挿入反応 / ビニルピリジン / N-N結合 / 二核錯体 / ピラゾリルボレート / ルテニウム |
Research Abstract |
1、NO配位子の挿入反応について TpRuCl_2(NO)錯体を2-ビニルピリジンと反応させることにより、NO配位子が挿入した珍しい六員環メタラサイクル錯体を単離した。このような挿入反応は、スチレンでは反応が進行しないことから配位性の部位が必要であることが分かる。そのため、配位性の部位を有する様々な有機物との反応を試みた。ビニル部位を有する有機物では、Methyl acrylate(酸素原子ドナー)やAllyldiphenylphosphine(ホスフィン原子ドナー)との反応を行ったところ、複雑な混合物が得られるのみであったが、N-allylaniline(窒素原子ドナー)との反応では、完全な同定には至っていないが、挿入生成物と期待できる生成物が得られた。これらのことより、配位部位として窒素原子が有効であることが分かった。これらの知見をもとに、配位性窒素原子を有するビニル基以外の有機物との反応を行ったところ、2-エチニルピリジンとの反応において、前述の六員環メタラサイクル錯体とともに五員環メタラサイクル錯体を単離した。これらの反応では、アルキンからアルケンへの還元反応が起こっており、非常に興味深い反応性を見いだした。 2、N_2O_2架橋錯体の生成機構と一般性の検討 TpRuCl_2(NO)錯体と等量のピラゾールを反応させることにより、非常に珍しいN_2O_2架橋二核錯体を単離した。この反応の生成機構について調査するため、ピラゾール錯体[TpRuCl(pzH)(NO)]Clを合成し、この錯体を原料にしてN_2O_2架橋二核錯体の合成を試みたが、収率の向上には至らず、必ずしもこのピラゾール錯体を経由しているわけではないということが分かった。また、この二核錯体の生成の一般性を調査するため、酢酸との反応を行ったが目的とする二核錯体は得られず、単核錯体が得られるのみであった。
|