2006 Fiscal Year Annual Research Report
キラルアミン触媒を用いた不斉環化反応とその実践的合成手法開発への展開
Project/Area Number |
18750083
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菊池 淳 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (60362266)
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Keywords | 不斉合成 / 環境調和型反応 / 有機触媒 |
Research Abstract |
キラルアミン触媒を用いた光学活性環状化合物合成手法開発を行なった.本研究代表者が独自に設計・合成した天然アミノ酸であるプロリン由来のキラルアミン触媒を用いて分子内マイケル反応とアルドール反応を検討した.分子内マイケル反応ではこれまでわずか2例しか報告例のない反応形式の環化反応が進行することを見いだした.また室温下,水存在下でも反応が進行することを確認しており,比較的不安定な生成物を収率よく得ることに成功した.得られた環化体は隣接位にホルミル基とカルボキシルメチル基を有しており,種々の化学変換により容易に官能基化することが可能である. 一方,分子内アルドール反応では本触媒は同一分子内に存在する複数のカルボニル基を高度に識別し,不斉非対称化ともなって一段階でビシクロ環状エノンを定量的に与えた.得られた化合物はほぼ単一の光学異性体のみであり,従来にない高ひずみ環状化合物合成の合成手法の一つとなり得る.特に天然物合成の出発物質となるWieland-Miescherケトンの合成法は従来の反応に比較して高立体選択的であり,なおかつ著しい反応時間短縮を達成した. いずれにおいても,カルボニル基に対するアミン触媒の特異的な反応,すなわち正逆反応が容易に起こる反応系を設定し,速度論的分割を伴う不斉合成を達成した
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