2006 Fiscal Year Annual Research Report
ハイパーブランチポリマーを用いた機能性ナノカプセルの創製
Project/Area Number |
18750092
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 敏文 北海道大学, 大学院工学研究科, 助手 (80291235)
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Keywords | ハイパーブランチポリマー / ハイパーブランチ糖鎖高分子 / 両親媒性ポリマー / 分子捕捉 / 分子放出 / 分子認識 / ナノカプセル |
Research Abstract |
コアが疎水性、シェルが親水性の両親媒性多分岐ポリマーは疎水性物質を捕捉する機能が期待され、ドラッグデリバリーシステムなどへの応用が試みられている。コア・シェルがともに糖で構成された両親媒性多分岐ポリマーは生体適合性や生分解性が期待される。そこで本研究では、疎水性ハイパーブランチ糖鎖高分子(1)の末端を親水性のラクトースで修飾した両親媒性多分岐ポリマー(4)を合成し、4の疎水性色素捕捉能およびレクチン認識能について評価した。 アセチルラクトーストリクロロアセトイミデート(2)を用いて、1の末端をラクトシル化したポリマー(3)を合成した。3はクロロホルムなどの有機溶媒に可溶な白色固体で、2の添加当量に応じて置換度の制御が可能であった。次に、3の脱アセチル化により合成した水溶性ポリマー4を用いて、疎水性色素1,4-ジアミノアントラキノン(DAQ)の捕捉実験を行った。DAQと4を加えた水溶液では、DAQのみを加えた水溶液より濃い赤紫色の着色が見られた。また、捕捉実験後、水溶液のUVスペクトルを測定すると、DAQ由来の吸収波長領域において強い吸収が見られ、4の濃度上昇に伴って吸光度が増加した。このことから4が水中でDAQを捕捉していることがわかった。続いて、ラクトース認識レクチンであるピーナッツレクチン(PNA)と4との相互作用について評価を行った。4と蛍光標識化PNAとの相互作用の蛍光スペクトル変化から、Scatchard plotを用いて結合定数(K_a)を算出した。PNAと4のK_aは2.8×10^5〜1.1×10^6M^<-1>であり、ラクトース単体のK_a(約9.0×10^2)と比べると約300〜1,200倍大きな値であることがわかった。このことから、4はPNAに対して糖鎖クラスター効果による高い親和性をもつことがわかった。
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Research Products
(6 results)