2006 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造の制御された感熱応答性ポリマーをセグメントとする新規高分子アーキテクチャ
Project/Area Number |
18750102
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
平野 朋広 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (80314839)
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Keywords | 感熱応答性ポリマー / ラジカル重合 / 高分岐ポリマー / リビング重合 / 立体規則性 / 水素重合 |
Research Abstract |
多量のN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)と少量のエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)のラジカル共重合を、多量の開始剤(2,2'-アゾビスイソ酪酸ジメチル(MAIB))存在下トルエン中70℃で行うと、poly (NIPAAm)をセグメントとする高分岐ポリマーが得られることを見出した.ヘキサメチルポスホラミドを添加し、重合温度を-40℃に下げて高圧水銀ランプによるUV照射で重合を開始させると、poly (NIPAAm)セグメントの立体規則性をアタクチックからシンジオタクチックに規制できることも見出した.低温で得られたポリマーには開始剤の不均化反応によって生成したメタクリル酸メチルもわずかに組込まれたが、開始剤をMAIBからα-プロモイソ酪酸メチル/ビス(トリブチルスズ)に変えることで、不均化反応が抑制できることも見出した. また、ヨウド酢酸エチル/シクロペンタジエニル鉄ジカルボニルダイマー/ヨウ素を開始剤とし、低温でNIPAAmの重合を行ってもポリマーは得られなかったが、UV照射を行うとポリマーが得られることを見出した.また、3-メチル-3-ペンタノールを添加すると、30分で重合はほぼ定量的に進行し、得られたpoly (NIPAAm)のシンジオタクチシチーも増加した.NMRを用いた解析から、得られたポリマーは開始末端に酢酸エチル断片、停止末端にヨウ素を有することがわかった.また、分子量分布はやや広いものの、モノマーとヨウド酢酸エチルの仕込み比から算出した分子量と末端基定量法で求めた分子量が比較的よい一致を示した.このことから、本重合系はリビング重合的に進行し、得られるポリマーの分子量をある程度制御できることがわかった. 以上の結果より、開始剤、共重合モノマー、添加剤、重合温度などを適切に選択することで、立体構造の制御されたpoly (NIPAAm)をセグメントとする新規高分子アーキテクチャを構築できることがわかった.
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