2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18750124
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐々木 真一 立命館大学, 理工学部, 助手 (50317294)
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Keywords | 超分子化学 / 合成化学 / 分子認識 |
Research Abstract |
光合成集光アンテナのモデル系構築を目的として、クロリンの環状オリゴマーを合成した。クロロフィル-aを出発原料としてメチルピロフェオフォルバイド-aへと誘導し、つづいて3位のビニル基をヒドロキシメチル基に変換した。この3^1位の水酸基と17^2位上のメチルエステルを、トルエン溶媒中スズ触媒を用いて分子間でトランスエステル化反応させた。得られた環状化合物はGPCカラムにより分離精製し、FAB-MSおよび^1H-NMRにより2,3,4量体の同定を行った。また、非環状の参照化合物を別途合成し、CDおよび可視吸収スペクトルにより構造を検討した。その結果、環状4量体はクロリン環同士が分子内でスタックする傾向が強く、色素分子の空間配置は2量体に近いことが分かった。一方、環状3量体はクロリン環で形成される空孔内にフラーレンを特異的に内包できることが明らかとなった。 クロロフィルよりも長波長領域に吸収をもつバクテリオクロロフィル-aに着目し、バクテリオクロリン環の3位に様々な置換基を有する一連の誘導体の合成ルートを確立した。比較的不安定とされるバクテリオクロリン環に対しても、酸化反応などが適用できることが明らかとなった。また3位置換基を変換することにより、最長波長ピーク(Q_y帯)の位置を717nmから790nmの範囲でチューニングすることができた。 クロロフィル色素分子の秩序だった空間配置形成に主要な役割を果たす中心金属への配位挙動を調べるために、ガリウム(III)クロリン類を合成し、NMRを用いて不斉アキシャル配位についての検討を行った。クロロフィル色素は不斉面を有するため、五配位錯体の形成によって二種の立体異性体を生じ、^1H-NMRスペクトルでは比率の異なる二種類の混合物としてシグナルが観測された。このように、これまで固体の結晶構造解析でのみ異性体が識別されていた不斉配位錯体を、溶液中でも実験的に観測することに成功した。
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