2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18750124
|
Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
佐々木 真一 Nagahama Institute of Bio-Science and Technology, バイオサイエンス学部, 講師 (50317294)
|
Keywords | 超分子化学 / 合成化学 / 分子認識 |
Research Abstract |
光合成の光収穫系アンテナに見出される秩序だった色素分子配列を模倣したクロロフィルオリゴマーの構築を目的として、天然のクロロフィル-aを出発原料に自己会合性のバクテリオクロロフィル誘導体を合成した。クロリン環の7,8位にシスジオール構造を持つ亜鉛バクテリオクロリンについて、吸収・蛍光およびCDスペクトルにより水溶液系での会合挙動を検討したところ、ミセル中の疎水環境においてこれらの亜鉛錯体は秩序だった自己集積体を形成していることが示された。これまでに合成した自己会合型クロリンと比較して、今回作製した亜鉛バクテリオクロリンは会合に伴うQyピークの長波長シフトが大きく、900nmを超える近赤外領域までのシフトを実現した。 一方で、20-位にメチル基を有するバクテリオクロロフィル-cは培養細菌から少量しか抽出できないため、容易に入手できるクロロフィル-aからの有機合成的な変換ルートを確立した。20-位への選択的なブロモ化と鈴木カップリングによるメチル化を組み合わせることにより、それまで10段階収率3%(文献値)の過程を3段階収率60%へと大幅に改善することに成功した。 天然のクロロフィルを利用した機能性色素の開発例として、3位にトリフルオロアセチル基を導入したクロリンを合成した。この色素分子はアミン類と非プロトン性溶媒中で可逆的なヘミアミナール付加体を形成し、それに伴って色調が茶色から紫色へと変化することを確認した。平衡が温度依存性を示すことから、分光学的手法により熱力学パラメーターの算出も行った。
|