2006 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ波ポンププローブ分光法の開発と光誘起相転移への応用
Project/Area Number |
18760007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中嶋 誠 東京大学, 物性研究所, 助手 (40361662)
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Keywords | テラヘルツ電磁波 / 光誘起相転移 / フェムト秒パルスレーザー / 金属絶縁体転移 |
Research Abstract |
1年目に相当する本年は、主として、課題の一つであるレーザー増幅器を使った測定系におけるテラヘルツ波パルス光の高感度検出に取り組んできた。本研究の対象である、光誘起相転移現象においては、強励起することが重要であり、そのためにレーザー増幅器が用いられることが多い。これに対し、通常の定常状態におけるテラヘルツ分光では、レーザー増幅器は必要ではなく、逆にレーザー増幅器を用いることはSN比など木利に働くことが多い。レーザー増幅器を用いた測定系において、微小な強度および位相変化を検出することを可能にするテラヘルツ波ポンププローブ測定装置の改良を行った。具体的には、マイクロ加振器(Shaker)をテラヘルツ波発生光のパスに入れ、これを1-20Hzで振動させ、このShakerの位置情報とテラヘルツ波の電場振幅情報をAD変換ボードで同時に高速に記録するラピッドスキャン法を導入した。この手法は、一般に繰り返し回数の低いレーザー増幅器には不向きと考えられていたが、検出器回路の改良と合わせることで、従来のロックイン検出を行っていたときに比べ、10倍以上のS/N比の向上(テラヘルツパルス光源のスペクトル強度のダイナミックレンジにおいて、10の7乗を達成)や位相成分検出の高分解能化に成功した。 測定では、二酸化バナジウムにおいて、波長800mmの励起光を照射し、テラヘルツ波パノレスの過渡吸収測定を行った。弱励起下では、励起直後に透過率の減少および時定数2psでの緩和を観測したのに対し、強励起下(〜15mJ/cm^2)では,励起直後の透過率の減少に加えて、400ps以上に渡り透過率が減少しつづける現象が観測できた。この結果は、光照射によって金属相が生成され、金属相が広がっている過程を反映していると考えられる。二酸化バナジウム以外にも、擬一次元臭素架橋ニッケル錯体等にて測定を行った。
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Research Products
(6 results)