2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760136
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
松山 新吾 Japan Aerospace Exploration Agency, 総合技術研究本部・記算科学研究グループ, 研究員 (60392841)
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Keywords | 熱化学非平衡流 / 木星大気圏突入 / 輻射エネルギー輸送 / 数値流体力学 / 連成問題 |
Research Abstract |
木星などの外惑星大気への大気圏突入では,突入速度が非常に高いため,空力加熱の大部分が衝撃波背後の高温気体から放射される輻射によるものである。輻射の放射・吸収過程は,原子・分子の内部エネルギー状態,電子密度,電子温度に大きく依存するため,衝撃層内部の熱化学過程を精度良く評価することが必要である。しかしながら,木星大気の主成分である水素に関しては熱化学モデルが十分に確立されておらず,従来は熱化学平衡流を仮定した計算が行われるのみで,モデル化の不足が指摘されていた。本研究の目的は,水素大気に対する熱化学非平衡モデルを構築することである。 本年度は,昨年度までに構築した熱化学非平衡流コード(水素分子のエネルギー緩和過程を考慮し,さらに,遷移レート方程式を輻射輸送と同時に解くことで水素原子の電離速度を計算可能)をさらに発展させ,衝撃波上流で生じる光電離のモデルをコードに組み込み,より現実的な流れ場の予測が出来るように改良を施した。改良したコードにより木星大気圏突入時のシミュレーションを実施し,非平衡性が空力加熱予測に及ぼす影響について調査を行った。その結果,高高度・低密度の条件において非平衡性を無視した場合,輻射加熱の誤差が最大で25%に達することが明らかになった。 本研究において開発した輻射輸送の効率的計算手法は,土星の衛星であるタイタンの大気圏突入問題に対しても適用され,空力加熱予測において輻射輸送の三次元性を考慮することが重要であることを示した。
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