2006 Fiscal Year Annual Research Report
高レイノルズ数流れにおける雲粒の衝突頻度因子の導出法の開発
Project/Area Number |
18760137
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
大西 領 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球シミュレータセンター, 研究員 (30414361)
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Keywords | 混相流 / 逆解析 / 豪雨予測 / 乱流 / 粒子間衝突 / 衝突成長 |
Research Abstract |
様々な大きさの液滴が衝突成長する場合,どの大きさの液滴とどの大きさの液滴とが衝突したのかを特定できないため,衝突頻度(もしくは衝突頻度因子)を直接求めることは困難である.この困難を乗り越えるためには何らかの特別な方法が必要である.本研究では,逆解析という解析手法を用いることによりこの困難を乗り越えることを目的とする. 本年度は,測定によって得られる液滴径分布の変化から液滴間の衝突頻度因子を推定するための‘線形'逆解析手法を開発した.また,直接数値計算(Direct Numerical Simulation, DNS)を用いて小型風洞を想定した数値実験を行うことにより,本逆解析手法の有効性を検証した.DNSによって得られた液滴径分布の変化から本逆解析手法によって衝突頻度因子を導出し,その導出結果とDNSによる衝突頻度因子データとを比較した.ただし,最も理想的な場合を想定し,液滴は定常な乱流中で衝突のみによって成長すると考えた.なお,凝縮成長を伴った数値シミュレーションを行った結果,過飽和度0.1%の場合には凝縮成長を無視できることも明らかにした. 本研究の結果,最も重要である最頻半径付近の衝突頻度因子を高い精度で推定可能であることがわかった.また,評価関数に対する最適な重み付けは液滴の数密度分布関数の自乗に比例した重み付けであった.この重み付けを用いて,最頻半径39.0pm,平均半径48.311m,標準偏差33.3%を持った液滴群を噴霧する噴霧器を用いた測定実験を行うことを想定した場合には,最頻半径から平均半径の大きさを持った液滴間の衝突頻度因子を誤差15%で導出可能であった.この結果を日本機械学会論文集B編に投稿した. 平成19年度は,より高度な先見情報の導入や‘非線形''逆解析手法の開発を行うことによって推定精度をより向上させることに取り組む.
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