2006 Fiscal Year Annual Research Report
シリカナノフルイディックチャネルを用いたバイオセンサーの研究
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18760139
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大宮司 啓文 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教授 (10302754)
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Keywords | ナノ流体力学 / 物質移動 / 電場駆動流 / 表面科学 / 一分子計測 / 電気二重層 / エネルギー変換 / 電気化学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、シリカナノフルイディックチャネル内部でイオン、分子の移動制御と検出を簡易に行う方法を確立し、バイオセンサーに応用することである。本年度は、静電気力に着目し、イオン、分子の移動を制御することに取り組んだ。具体的にはナノフルイディックダイオード(シリカチャネルの壁面に荷電粒子を付着させることにより、シリカチャネル壁面の電荷を左右で反転させたシステム)を製作し、チャネルの両端に電位差を与えることにより流れるイオン流の大きさを測定した(電流-電圧特性曲線)。昨年度までに、電位勾配の向きによりイオン流を制御できる、すなわち半導体のダイオードの同じ整流作用がナノフルイディックダイオードにもあることを理論的に示したが、本年度は、実験により検証することができた。また、溶液の濃度が高くなり、デバイ長さがチャネル幅に対して極端に小さくなった場合、あるいは、溶液の濃度が低くなり、デバイ長さがチャネル幅よりも大きくなった場合には整流作用がなくなることを明らかにした。特に溶液の濃度が低い場合において、実験により得られた電流-電圧特性曲線は理論的な予測とは一致せず、水の加水分解、表面特性等を考慮しなければならないとの結論に至った。さらに、ナノ流体力学の関連する研究として、ナノ流体電池の性能予測を行った。ナノ流体電池とは、圧力差によって電解質水溶液がナノ流体チャネルを流れる時に、イオンの静電遮蔽効果がある場合に、対イオン(チャネルの壁面と反対符号の電荷を持つイオン)のみがチャネルを通過し、イオン流が発生するという現象を応用したものであり、機械仕事から電気仕事へのエネルギー変換装置である。具体的には、イオン濃度、表面電荷密度、チャネルのサイズ、あるいは媒体の物性値等をパラメータとして性能予測を行い、機械-化学-電気のエネルギー変換について考察した。
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Research Products
(2 results)