Research Abstract |
自動車交通の諸問題を解決することを目的として,ITS(Intelligent Transport Systems)の名のもとで様々な研究が推進されている.その技術分野の一つである自動運転システムは,人の移動,物流における運転負荷軽減,安全性の向上,そして交通容量の飛躍的な増大が期待されている.交通容量の増大のためには,短い車間距離での走行が必要となるが,走行中の1台の車両に発生した不具合や,突発的障害物がその車群の走行に深刻な障害をもたらす可能性がある.本研究では,近年急激に普及した無線LAN装置を利用して,複数台の車両で状態量,センサ情報を共有することにより,複数台の車両の短車間距離走行(自動隊列走行)の力学的安定性と情報取得の信頼性向上を目指すものである. 平成18年度は,実験車両を構築し,各車両の状態量に加え,制御指令値を共有することにより一定車間距離(40cm)で4台の車両が安定に走行できることを明らかにした.ここでいう安定とは,目標車間距離に対する偏差が後続になるに従い増幅伝搬しないこと意味する.具体的には,以下のことを行った. ・2台の小型電気自動車車体を改造し,従来有している2台の車両と合わせて4台車両による自動運転を可能とした. ・制御用パソコンの無線LAN機能を利用して,UDPプロトコルにて4台の車両の状態量,制御指令値を共有するアルゴリズムを構築した. ・レーザーレンジファインダによる車間距離計測を行い,共有した状態量,他車の制御指令値により,安定に走行するための車間距離制御アルゴリズムを構築した. ・実験により,本研究で構築した,アルゴリズムにより4台の車両が先頭車の加減速に関わらず安定に車間距離40cm±15cmの精度で走行できることを明らかにした.
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