Research Abstract |
本研究の目的は,フィーダ表面と輸送対象物との間に生じる凝着力を考慮したダイナミクスモデルを導出することである.本研究で提案している手法においては,フィーダ表面にのこぎり歯形状加工を施し,正負方向での接触条件を変えることによって,水平な対称振動による一方向輸送を実現する. はじめに,正負方向での接触条件の違いを表す方法として,以下の2手法について検討した. (1)のこぎり歯表面の正負方向での接触条件のちがいを,フィーダ表面から受ける摩擦力が正負方向で異なると仮定してダイナミクスを検討した. (2)のこぎり歯表面から受ける凝着力を,マイクロパーツの最大静止摩擦力を元に同定し,凝着力を含むモデルを導出した.これらの研究成果について,2件の国内学会発表を行い.2件の論文(内,海外1件)を投稿した. 次に,輸送対象物の大きさの違いが輸送に及ぼす影響について検討した.輸送対象物として,2012型(サイズ:2.0x1.2x0.6mm,重量:7.5mg)および0603型(サイズ:0.6x0.3x0.3mm,重量:0.3mg)のチップコンデンサを用いた.これらの輸送対象物を,同一のフィーダ表面および駆動条件を用いて輸送実験を行った.ここでは,駆動周波数と輸送速度の関係,輸送速度のばらつき,および湿度の影響を考察した.ここでは,2件の国内学会発表を行っており,1件の投稿論文および2件の国際会議発表を予定している. また,ニコンユニバーサルズーム顕微鏡AZ100システム(以後AZ100とする)を用いた,接触モデルの導出方法について検討した.AZ100は,一定の高さピッチで撮影された平面画像群を,高さ情報に基づいて三次元に合成し,それらの断面形状を離散データとして出力する機能を有する.ここでは,離散フーリエ変換による断面形状近似により,フィーダ表面と輸送対象物のより厳密な表面形状モデルの導出を試みた.現在は,最適な接触モデルを導出するための手法を検討している.
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