2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポアソン過程に従ってシンボルを出力する情報源に対する実時間基準最適符号の構成
Project/Area Number |
18760267
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
西新 幹彦 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 助手 (90333492)
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Keywords | 情報通信工学 / 情報理論 / 遅延 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ポアソン過程にしたがってシンボルを出力する情報源に対して、実時間基準のもとで最適な符号の構成方法を与えることである。具体的には、伝送レート、ポアソン過程のレート、出力されるシンボルの分布などのパラメータが与えられたもとで、誤り確率を最小にするような符号を構成する。本年度は次のような成果が得られた。 エントロピー符号化として代表的な算術符号に注目し、符号化の実時間性について調べた。算術符号の符号化過程に注目し、符号語の断片と復号系列の断片の統計的性質を実験によって計測し、いずれの間隔も幾何分布で近似できると結論付けた。さらに符号化と復号化の過程によって生じる遅延を実験によって計測し、情報源の分布の変化に伴う傾向を明らかにした。その際、従来の復号方法では符号語を一定量バッファリングしていたのを改め、バッファリングなしで可能な限り復号系列を復元するアルゴリズムを採用した。これにより、観測される遅延を小さくするように改善することができた。 ポアソン過程にしたがってシンボルを出力する情報源に関連して、連続時間マルコフ連鎖に対して実時間基準のもとで最適な符号を考察した。情報源の表現として連続時間マルコフ連鎖を注意深く導入し、整数値をとる符号語長の代わりに実数値をとる理想符号語長を用いてクラフトの不等式を等号で満たすような理想符号語長の中から喪失確率が最小になるようなものを求めた。また、通信路の使用率についても考察し、任意の理想符号語長に対して通信路の平均使用率と喪失確率は一致することを明らかにした。
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