2006 Fiscal Year Annual Research Report
強震動による地盤変形と慣性力を受ける杭基礎の損傷低減のための最適杭径に関する評価
Project/Area Number |
18760344
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
齊藤 正人 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (40334156)
|
Keywords | 応答変位法 / 最適杭径 / Kinematic相互作用 / Inertial相互作用 / 非線形性 |
Research Abstract |
本研究代表者は、3次元弾性波動論に基づく理論的方法により,地盤変形と慣性力が同時に作用するときに,設計実務の杭径の範囲において,曲げひずみが極小化される杭径が存在することを明らかにした。本研究では、弾性波動論に基づく最適杭径の特性を,地盤の非線形性条件下において評価することを目的としている。平成18年度は、せん断土層を用いた模型振動実験のための模型諸元の設定を行うため、SDM (Seismic Deformation Method)による解析手法の確立と同手法による応答解析を実施した。この方法は、既往のWinkler型モデルに静的地盤変形を与えることで、杭体の変形応容を解析的に求めるものであり、現行の耐震設計でも使用されている有効な手法である。ただし、SDMが曲げひずみと杭径の関係、ならびに最適杭径の評価に使用できる手法であることを、理論解を誘導することで検証する必要がある。そこで本研究では、弾性波動論による理論モデルと同じ条件を想定し、SDMによる杭頭曲げひずみの理論解を誘導した。その結果、同理論解は、弾性波動論に基づく理論解とその構成および無次元化量の構成が一致することを確認した。次に近傍地盤の非線形性を考慮するために、杭体に接触させる地盤抵抗要素に有効抵抗土圧を持つBilinear型の骨格ならびに履歴特性を与えた。また、慣性力と地盤変形には、構造物と地盤の振動性状の違いによる位相差が生じることが知られている。そこでこの位相差を解析で考慮するため、上記の静的刺激に対して調和ステップ入力を仮定した。このときの入力波は定常非線形応答を求めるため、複数のピーク(5波程度)を持つ定常波を与えている。この解析によって、以下の新しい知見を得ることができた。まず第1に、基礎近傍に非線形性が生じると、慣性力による曲げひずみが杭径の小さい範囲において著しく増加することである。一方、地盤変形による曲げひずみについては、同杭径の小さい範囲では概して上記非線形性の影響を受けず(杭径が小さいため杭体の柔性が高く、地盤変形に追随するために非線形性が生じにくいことが主要因)、曲げひずみは弾性条件下によるものと差異が生じない。第2に、そうした理由から、典げひずみを極小化する最適杭径は,地盤の非線形性の影響を受けると若干増加する傾向にあることが判明した。これらの影響を模型実験で実証評価するため、香川・国生の相似則に準拠して諸数値や実験外力の範囲などを詳細に検討し、模型製作作業が完了した状況にある。また、実験シミュレーション解析を同解析法に基づき実施している。
|
Research Products
(2 results)