2008 Fiscal Year Annual Research Report
RC構造物を対象としたマクロモデルによる3次元弾塑性地震応答解析方法の開発
Project/Area Number |
18760416
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西村 康志郎 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (00343161)
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Keywords | 鉄筋コンクリート / 耐震壁 / 復元力特性 / 2軸復元力モデル / 塑性論 / スリップ型 / 履歴エネルギー消費 / 並列系モデル |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、鉄筋コンクリート(RC)耐震壁の3方向加力実験を行った。試験体は昨年度と同様で、縮小率7分の1程度の両側柱付RC耐震壁試験体で、本年度は2体作製した。実験のパラメータは加力経路とした。1体は、軸力比0.1の一定軸力下での2方向繰返し加力、もう1体は軸力比0.02の一定軸力下での2方向繰返し加力とした。 耐震壁の2軸曲げ強度について、コンクリートと鉄筋を剛塑性体として平面保持仮定を基に算出した2軸曲げ強度と、本年度および昨年度の実験結果を比較した結果、一定軸力下での2軸曲げに対しては計算強度で実験結果を良く評価できたが、変動軸力下での2軸曲げを作用させた実験結果は、低軸力では計算強度のほうが低く、高軸力では計算強度のほうが高くなる結果となった。これは、耐震壁が降伏した後に軸力を変動させたため、引張鉄筋の引張歪や圧縮縁コンクリートの圧縮歪が、一定軸力の場合に比べて大きくなった可能性があり、今後、検討が必要である。 一定軸力下での2軸曲げ実験の結果より、計算した2軸曲げ強度曲線の法線方向と、耐震壁の曲げ降伏後の変形の方向がほぼ一致し、2軸曲げ強度曲線を降伏曲面として塑性ポテンシャルと関連させることで2軸復元力特性を定式化できる可能性を示した。 耐震壁の2軸非線形復元力特性を定式化するために、完全弾塑性型の2軸復元力特性と以前提案したスリップ型の2へ軸復元力特性との並列系で表現することを試みた。この並列系のモデルの特徴は、耐震壁が降伏した後の繰返し加力において、周期特性をスリップ型のモデルで、履歴エネルギー消費を完全弾塑性型のモデルで表現しえることにある。並列系のモデルは、耐震壁の2軸非線形復元力特性を巨視的に表現できることを示した。
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