2006 Fiscal Year Annual Research Report
地区計画等における裁量的判断を要する基準の運用過程の分析と実効性の評価
Project/Area Number |
18760449
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤井 さやか 筑波大学, 大学院システム情報工学研究科, 講師 (70422194)
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Keywords | 地区計画 / 都市計画 / まちづくり / 建築協定 / まちづくり協定 / 開発コントロール / 住宅地 / 横浜市 |
Research Abstract |
本研究では、地区計画の運用実態を把握し、その実効性と課題を明らかにすることを目的として、以下の調査・分析を行った。 1.地区計画を策定している全国の自治体に対してアンケート調査を行い、策定されている地区計画のタイプや規制内容、運用上の課題、変更状況、今後の活用可能性を把握した。これによると、住宅地系地区計画が7割近くを占め、今後の活用対象としても、主として住宅地が想定されていること、行政主導の策定が主流であること、裁量的判断を要する項目(形態・意匠等)の運用に問題が生じやすいことなどが明らかになった。 2.地区計画の策定及び運用実績の多い横浜市において地区計画と他制度(まちづくり協定等)を併用している戸建住宅地を対象として、関係者ヒアリングを実施し、各種制度の連携の仕組みや規制項目・基準を比較するとともに、現地踏査や運用実績の詳細分析を行って、制度連携による環境整備の効果と課題を分析した。裁量的判断を要する項目の審査を地元にゆだねることで、より質の高い開発を規制誘導している地区もあり、制度連携が有効であるとの示唆を得た。 3.地区計画策定から一定期間が経過し、地区や社会経済状況が変化する中で、計画内容の変更を検討・実施した地区について、自治体へのヒアリング調査及び現地踏査を行い、地区計画変更の実態と課題を整理した。地区計画変更の多くは、関連法制の改正やベースの用途地域等の変更に合わせた仕組み上の変更であり、地区の市街地整備目標やニーズ自体の変化を受けた見直しはさほど多くないこと、社会環境変化を受けた見直しでは、マンション建設やミニ戸建などをきっかけとした環境維持のための規制強化型と、建替えや増改築の必要性から生じる住宅二ーズに合わせた規制緩和型、居住者の高齢化などに伴う新たな地区施設ニーズを受け入れるための規制緩和型の3タイプが存在していることが明らかになった。
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