2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本近代における博覧会開催による都市の観光化に関する研究
Project/Area Number |
18760481
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
笠原 一人 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助手 (80303931)
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Keywords | 内国勧業博覧会 / 平安遷都千百年紀念祭 / 京都 / 観光 / 平安神宮 |
Research Abstract |
本年度は、内国勧業博覧会を中心とした資料収集を重点的に行なった。特に、1895年に京都で開催された第四回内国勧業博覧会および平安遷都千百年紀念祭の資料や、この時発行された観光案内書、錦絵の資料を収集した。その結果、次のようなことが明らかとなった。 第4回内国勧業博覧会は平安遷都千百年紀念祭と同時開催された。その際「歴史」がテーマとなり、平安京の大極殿を模した平安神宮が造営されたのみならず、京都市内や西日本の各地で古社寺が修繕され、各古社寺の宝物が展示されるなどした。また、鉄道を利用して各地から京都や西日本の各地への観光客の誘致が行われ、多数の錦絵や観光案内書が発行された。錦絵では、従来の内国勧業博覧会の際に発行されたものとは異なり、博覧会の会場のみならず、京都の名所旧跡が同時に描かれているという特徴が見られる。また観光案内書の発行数は、この年に急激に増加している。また海外でも京都への観光客誘致のキャンペーンが行われるなどした。 そこでは、博覧会や紀念祭の会場のみならず、京都の都市全体で「歴史」をテーマとした観光化の手法を見て取ることができる。しかもその手法は、メディアを中心として一様々なものが用いられている。これ以前に博覧会と都市の観光化を意図的に連動させたイベントは見当たらず、第4回内国勧業博覧会および平安遷都千百年紀念祭は、都市の観光化をもたらした、日本における最初の博覧会であったと言える。これによって、京都は歴史観光都市として再生したのだと言える。
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Research Products
(2 results)